ミルト


私は体を倒した。


また目を閉じた。











――――――――――――


懐かしい夢をみた。



まだ
お母さんがいたころかな?



まだ
お父さんがいたころかな?





わからないけど
家にだれかいた。


でも
今の家とは違う。








小さい私は
誰かお母さんかお父さんかわからない人に
手を引かれていた。



私は顔を上げてみるけど、
逆光のせいで見えない。


多分
私が顔を覚えていないからだろう。







「どこ行くの?」







舌足らずな口調で
聞く。


でも
黙って手を引くだけで何も言わない。








私は
見覚えのあるマンションに着いた。

< 95 / 206 >

この作品をシェア

pagetop