years
そのときだった。
ガチャッ。


なんと…おばさんが入ってきたのだ。
私は、完全に布団の中の彼の腕の中に小さくなっている。
多分見えてない、はず。
なんか…声聞こえたとかまさか…。
彼の腕に力が入った。


彼の、頭痛いから出てってくれ、と言う声が聞こえる。
おばさんの、ちょっと用事があるのよ、という声。
どうやら、アイロン台がこの部屋にあり、アイロンをかけに来たようだった。
そんなもの今やらなくたっていいだろ、響くからやめてくれ、という彼の声。
ちょっとくらい待ちなさいよ、と返される。


10分くらいそこでおばさんはアイロン掛けをしていたろうか。
距離にして30センチもない、ベッドで臥せる息子の布団の中には、年頃の女の子がいる。
まさかおばさんはそんなこと、思いもしないだろう。
私だって、思いつかない。


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