years
アイロンをかける音だけが聞こえる。
彼は余裕が出てきたのか、小さく固まってる私の背中を小さくポンポンと叩く。
安心するように伝えているのか。
しかし安心出来るわけもなく、息をひそめる。


しばらくして、何事もなくおばさんは出て行った。
階段を下りていく音、一階のドアが閉まる音。


…助かった…!!
布団から出た私は、汗だくになり混乱と半泣きだった。


翌日、学校にはいつも通り無口な彼がいた。
特に変わったこともなく、そっけない。


そんな彼を見てふとぼんやりと、昨日彼は親が帰ってこない時間を充てていたんだ、人の出入りが自由なオープンな家庭で、自分は親に隠される存在になってたんだ、と気付いた。


< 16 / 54 >

この作品をシェア

pagetop