years
そういえば、その前のことだったかもしれない。
秋も終盤の、夜は寒くなってきた頃だった。


帰りが遅くなり、学校まで親に車で迎えに来てもらうつもりが、電話しても親に繋がらなかった。
学校から駅行きのバスもなくなる時間で、仕方なく最終バスで駅に出てまた電話をしたが、親は出なかった。
19時過ぎだったかもしれない。
もうあたりは真っ暗。
親と入れ違いになっても大変なので、動くわけにもいかず途方に暮れてしまった。


普段長居しない大人の多い駅前に落ち着かず、私は何を思ったのか彼の家に電話をした。
電話するのに緊張したけど、話せたら少しは落ち着くかもしれないと思ったのだと思う。


電話に出た彼は、ぶっきらぼうに返してきた。
しかしひるむわけにもいかず、状況を説明し、親が来るまで少し話し相手になって下さいとお願いする。
少し話し相手になってくれるだけでも、心細かったのでありがたかった。


< 19 / 54 >

この作品をシェア

pagetop