years
当時、まだ携帯も持たされていなくて、彼が来るかどうかなんて分からなかった。
無事落ち合えるかも、現地にたどり着くまでは分からない。
今そこに行くからの一言を、信じて待つより他なかった。


少し時間はかかったと思う。
相変わらず親は電話に出ず、1人途方に暮れて駅前に佇んだ。
中学生だし、夜の外出は親に怒られるでしょ…と彼が来ないのを納得した直後、彼が自転車でやってきた。
さっきの電話で話したけど、リアルでは前に比べ、彼は近寄りがたい雰囲気を出していて声をかけづらくなり、殆ど話すことはなかった。
しかし自転車に乗ってきた彼は、学校で見る話しかけづらい彼だ。
それがいまここにいるなんて、嘘のようで、ぼんやりしてしまったのを覚えている。


< 21 / 54 >

この作品をシェア

pagetop