years
久しぶりに会えたのは夏休みに入ってからだった。
会うことを承諾されたということは、まだ嫌われていないのだろうか、不安な気持ちで向かったのを覚えている。


家の中には誰もいない。
私と彼だけだった。
蝉の鳴き声だけが聞こえて、相変わらず彼は何も話さない。
静かな空間に、ぼんやりする。


ふいに彼はどこかに行ったと思ったら、シャワー使ったらと私にタオルを渡した。
びっくりした。
他の家でシャワーを借りるなんてしたことない上、男性のいるところで借りるなんて気が引けたからだ。
慌てていると、遠慮しなくていい、と言われた。
彼の母親もそうだったけど、親切なのは、家風だろうか…と不思議に思いながら、使わせてもらった。


出てきてお礼を言うと、彼もシャワーを浴びに行った。
まさか私の次に使うと思ってなくて、えぇっと焦る。
止めることも出来ず、一気に汗が出て、シャワー浴びてもまた意味がなくなってしまった。


彼がシャワーを浴びてる間、居間でぼんやり正座して周りを見回す。
シンとしていて、平和な空間。
誰もいない。
いつも通り接してくれた彼に、ホッとしたのかもしれない。
少し横になっていた。



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