years
帰り道に訪問するのは、学校にいる彼と話せるようで不思議な感じだ。
日常とプライベートが交互に混ざっている。


着いた時、もしかしたら、着替えるように言われたかもしれない。
外に出る時、制服だと目立つからだ。
着慣れない男性服を着て、私たちは散歩した。
親御さんが外出するのを待って、外で時間を潰した気もする。


1ヶ月ぶりの彼の家は、相変わらず静かだった。
彼は部屋に入るなり、仮眠に入ってしまった。
頭痛持ちで、仮眠を取るのは日常だったようだ。
親御さんも眠りは邪魔しなかったようだ。


私もぼんやりと横に座って時間を過ごす。
何か一言二言話しかけた。
そしたら意外にも彼はちゃんと答えてくれた。
無口でぶっきらぼうな人だったので、まじめに答えるのは珍しい。
このときこれまで雲をつかむようだった距離に、僅かな変化を感じたような気がする。


真面目に返されると、いつもの反応と違って緊張した。
汗がじわりと湧いた。
残暑の蝉の鳴き声が響く。
そこに、こんちわー!と一階から友達の声が聞こえてきた。
彼の家は溜まり場だったようで、友達はアポなしで来て遊んでいくようだ。


あ、あいつ来やがったかと、彼は下に降りていった。
今日はだめだ帰れという声が聞こえる。
えー、という声がしたけど、少しゲームをしてから友達は大人しく帰って行った。
友達にはちょっと申し訳なく思ったけど、私といる時間をとってくれた彼に対して嬉しかった。


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