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6

高2の9月。
連休だったかもしれない。


彼の家を訪ねるようになって、三回目の夏が過ぎた。
ご家族は留守で、彼と私しかいない。
玄関もそっと入らずに普通に入れる。


2人の距離は最も近く、彼の本心を聞くには十分の空気だった。
彼の隣部屋は来客用の部屋になっていて、エアコンのよく利く部屋だった。
テレビもテーブルもベッドも揃っている。
彼の部屋にはエアコンがなくて、残暑の汗をひかせる為に入った。


日差しが眩しく、カーテンを閉め暗く涼しい中で、持ってきたアルバムをかけたりして2人過ごした。
聞くなら今しかないな…と思い、彼に聞いてみる。
自分のことどう思ってる?と。
すると、聞いてどうするのかと返ってきた。
聞いたら駄目なのか尋ねると、聞かれても何も言えないと言われた気がする。


これだけ2人でいて、この前は怖い気持ちにさせてそれはないでしょ、と思い、私は彼が逃げられないように端にあるベッドに追い込んだ。
言わないとかずるくない?と。
家には誰もいないから普通の声で話しても大丈夫だ。
音楽もかけていて外には聞こえない。


彼は、仮に言ったとしてどうするつもりだと、それを盾にしてなんかするつもりだろ、怖いやつだな(笑)と茶化した。
その発言はさすがに心外でショックだった。


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