陥落寸前!?俺様部長に愛されすぎています。
動揺を隠せなかった私だが、仕事はしなければならない。
そう言えば名前…一ノ瀬 聡って言うんだ。
でも…ドラマや映画じゃあるまいし、こんな出会い方なんて普通はしないよね?
もしかして私は今は夢を見てるんだろうか。
なんて現実逃避したいけど現実なんだよね。
だけど彼は私を覚えていないかもしれないし、私も知らない振りをしてればいいよね?
そう思う事にして仕事に集中した。
終業時間が近づいてきた時だった。
「紺野さん!ちょっといいかな?」
そう私の名前をよばれて「はい」と言って振り返った。
「……っ!」
そこには部長が立っていた。
「紺野さんで名前はあってるよね?」
「はい…」
「この資料について聞きたいことがあるんだけど会議室までいいかな?」
「はい…」
何故、この場所じゃなく会議?と思ったけど逆らえる筈もなく、私は部長の後ろを付いて会議室まで向かった。
私…ミスでもしたのかな?
会議室に着くと、椅子に座るように言われて私は座った。
すると部長は私の背後から私をぎゅっと抱きしめた。
えっ…!
「ぶ、部長!!」
訳が分からないまま動揺してしまった私だが、急な部長の行動にドキドキしてしまった。
「会いたかったよ翼!
本当は俺の事を覚えてるだろ?」
「あ、あのっ!」
「あの夜の事は忘れもしないよ。
まさかこんな風な形でお前に会えるなんてな!」
そう言った部長は私から離れて隣に座った。
多分、私の顔は真っ赤になってるだろう。
「あの時のお前と違って今は元気そうで安心したよ!
それにあのまま本当に帰ってしまうし心配してた。
それに体の相性も良かったし、今夜あたり俺に溺れてみないか?」
「はっ!そ、そんな事をする訳ないじゃないですか!」
「クックックッ。冗談に決まってるだろ?
でも…俺の女にならないか?
こうして出会えたのも運命みたいなもんだしな」
「わ、私は今は誰とも付き合うつもりもないし、それに恋愛は暫くはしたくないんです。
男の人が信用できません。」
「ふぅーん…。
でも…俺がお前を落としてやるよ!」
「えっ?」
「話はそれだけ!じゃあな翼!」
そう言って部長は会議室から出て行った。
落としてやるよって言われても、今の私には恋愛なんて出来ないよ。
何だか一気に疲れが出てきた。
オフィスに戻るなり亜沙美が心配そうな顔をして駆け寄ってくるし、部長は一瞬、こっちを見てニヤリと笑うし…。
亜沙美には資料の数字が間違ってただけで商品には関係なかったから心配いらないよと言ったけど、明日から私は違う意味で心配になった。