陥落寸前!?俺様部長に愛されすぎています。
私達は更衣室で着替えを済ませて会社を後にした。
私達が向かったのは居酒屋。
ビールと摘みを注文して、二人で乾杯した。
「話、聞くから全部、吐き出しなよ?」
そう優しく言った亜沙美の言葉を聞いて、堪えていた想いが涙となって溢れてきた。
私は涙を流しながらビールを一気飲みし、ヒロくんの事を亜沙美に話した。
「辛かったね翼…結婚に妊娠なんて聞かされたら私でもどうにかなっちゃいそうだよ!」
「本当にどうにかなってたよ…
さっきも話したけど、知らない男の人に抱かれたし、普段の私なら絶対にあり得ないけど、あの日はヒロくんの事を考えたくなくて、気がつけば知らない男の人と…。」
「だけど翼がそんな風になったのはそれだけ辛くて苦しかったんだし仕方ないよ。」
「うん…」
亜沙美に話をしたら少し楽になり、お互いにお酒の量も増えていった。
一時間が経過した頃、亜沙美はだいぶ酔ってきたのか私は質問攻めにあっていた。
「そう言えば、イケメンの名前も知らない男の人に抱かれてどうだった?
確かに彼氏を忘れたくて抱かれたにしてもさ、相性とかどうだったの?」
「えっ…相性…?」
「そうそう相性だよ相性!
良かったの?それとも悪かった?」
「そ、それは……」
私はあの夜の事が頭を過って、確かに相性は良かった…。
多分、今まで付き合ってセックスした人数は少ない方だけど、中でも一番良かったと思う。
「へぇー良かったんだ?」
ニヤリと笑いながら言う亜沙美の顔は何だか悪魔のようにも見えた。
「イケメンで体の相性もいいなら言うことないじゃん!
それに何だか運命とか感じないの?
私だったら絶対に連絡先を交換してるよ!
いい男を逃しちゃって勿体無いよ翼!」
「だ、だって私はもう恋なんて暫くはしたくないし…それに男の人が信じられない!
私は暫くは仕事だけでいいよ!」
そう言って私はグラスに入っているビールを飲み干した。
だけど亜沙美は"勿体無い"と言っていた。
あんな別れ方をして直ぐに恋愛なんて出きっこないよ。
だけど亜沙美とこうして話をしていたらだいぶ楽にはなった。
居酒屋を出て亜沙美をタクシーに乗せて見送った後、私もタクシーに乗って家まで帰った。
癖になっているのか、私はスマホのラインが来ているかを見ていた。
毎日、連絡をしていたから仕方ないよね。
そんな急に忘れるだなんて出来る訳ないもん。
私はシャワーを浴びるとそのまま眠りに就いた。