陥落寸前!?俺様部長に愛されすぎています。
✱✱✱
ヒロくんと別れて一ヶ月が経った。
まだたまに思い出してしまう事もあるが、仕事が忙しいおかげもあって、少しずつ立ち直ってきている。
「これ頼むな!」
そう話しかけてきたのは同期で入社した高山 幸太。
「お疲れ様!今回も注文がいっぱいだね?」
「先輩達には負けないように俺だって頑張ってるんだよ!」
「幸太は凄いね!私も負けないように頑張らなきゃ!」
「そう言えば翼って一ヶ月前くらいだったっけな?
あまり元気がなかったみたいだけど最近は前みたいに元気になったな?
何かあったのか?」
「そ、そう?大人の事情…かな?」
「何だよそれ?男と別れたとか?」
冗談で言ったつもりの幸太の言葉が私の心に突き刺さった。
「……」
苦笑いしか出来なかった。
「マジかよ?図星?」
「うん…」
「ふぅーん。まぁ俺からしたらラッキーだけどな!」
そう言って自分の席に戻って行った幸太。
何がラッキーなんだろ?
意味が分からないまま、私は幸太に貰った書類をパソコンに打ち込んでいた。
そしてお昼になり亜沙美と社員食堂でお昼ごはんを食べていた時だった。
「ねぇ翼!来月から社長の息子が本社で働くみたいだよ!
噂によるとかなりイケメンらしい!
海外の支店にいたみたいだけど遂に戻ってくるみたいだしどんな人なのか気になるよね!」
「私はあんまり興味ないよ。
それにイケメンって騒いでるけど亜沙美の彼氏だってイケメンじゃん?」
「確かにね〜!ただ社内での目の保養になるじゃん。
今から楽しみ〜!」
亜沙美の性格って恨めないな。
社長の息子ね…。
顔はイケメンかもしれないけど性格が悪かったりして…。
そんな事を思いながらお昼ごはんを食べた。
そして1日の仕事が終わり、私と亜沙美が更衣室に向かう途中だった。
「翼、亜沙美!」
私達の名前を呼ばれて振り返ると幸太が立っていた。
「何?」
「久しぶりに一緒に飲みに行かね?
同期でたまには飲むのも悪くないだろ?」
「私は今日は彼氏とデートだからパス!」
「あっ、そ!」
「本当は私が居なくて嬉しい癖に!」
「はっ!?」
私は亜沙美と幸太の会話の意味が分からずにいた。
「翼!幸太に付き合ってあげなよ?
どうせ暇なんでしょ?」
「……暇で悪かったわね!」
「そんな意味で言ったんじゃないよ。
たまには息抜きくらいしといでよ?
まぁ幸太は凄く嬉しいだろうけどねぇ〜。」
「う、うるせーよ!翼、こんな奴はほっといて今から飲みに行くぞ!」
「う、うん」
何で幸太は剥きになってんだろ?
まぁ久しぶりの息抜きにはいいかもしれない。
私と亜沙美は更衣室で着替えを済ませて、亜沙美はそのまま帰って行き、私は幸太と二人で居酒屋へ向かった。