陥落寸前!?俺様部長に愛されすぎています。

亜沙美とオフィスに戻る途中で部長が会議室に入って行く姿を見かけた。
一人で入って行ったからこれはチャンスかと思い、亜沙美に「行ってくる」と言って部長の後を追い、会議室に向かった。


会議室の前に着いて、私は深呼吸をし落ち着かせてノックをしようとした時だった。
中から会話が聞こえてきて、どうやら社長と部長が中に居るみたいだった。


「日曜日のお見合いの事だけど、時間には遅れるなよ?」


「分かってるよ!確か相手は親父の知り合いの娘さんだったよな?」


「ああ!頼むぞ!場所と時間は____」


嘘、でしょ…部長がお見合いだなんて。
やっと自分の気持に気がついたのにっ。


私はその場から離れてトイレに駆け込んだ。


私が部長に対して答えをずっとだせなくて、幸太に対しても返事を出来ていなかったから私の事を嫌いになっちゃったのかな…。


やっと好きだと気づいたのに…。


胸が苦しくて涙が溢れた。




涙で化粧が崩れた私は、更衣室に行き化粧を直した。


オフィスに戻ると席には部長が座っていて、横顔を見ると苦しくて、私は自分の席に座るとまた涙が出そうになった。


そんな私に気づいたのか、隣の席の山岡先輩が声を掛けてきた。


「翼ちゃん、顔色が悪いけど大丈夫?
具合いでも悪いんじゃない?」


「大丈夫ですよ…?」


「ならいいけど…あまり無理しないようにね?」


「はい…」


私はなるべく山岡先輩にも迷惑をかけないように、どうにか仕事を頑張った。


終業時間になると私はこの場に居たくなくて、逃げるようにして亜沙美の腕を掴み更衣室まで向かった。





< 90 / 142 >

この作品をシェア

pagetop