秋空恋模様
最近、彼氏が構ってくれない。
全然会えない。どうしてだろう。
バイトが忙しいのかな。それでも寂しいものは寂しいの。昴は違うの?
もしかして、私の他に彼女が出来たから連絡くれないとか?私は用済みってこと?
自問自答を繰り返すうちに1時間が過ぎていて、時計を見ると23時だった。
もうバイトも終わっただろうから、電話をかけてみよう。
久しぶりに声も聞きたいし。何より、とても不安だから今すぐ声を聞きたい。愛しい貴方の声を。
-プルルル。
呼び出し音が暫く響いたが、昴の声が聞こえることはなかった
まだバイト中?それとも他の女のところ?
-チャララーンラン♪
昴からの着信音だ。素早くボタンを押して電話に出た。
「昴!」
開口一番に名前を呼ぶと、呼ばれた本人は柔らかく笑った。
『なんだよ、元気だな。電話かかってきてたけど何か用だったか?』
聞いてもいいのだろうか。けど、怖い。どうしよう…
「えと…昴が遠くに行っちゃう気がして…最近、電話もメールもくれないし…」
うん、嘘はついてない。少し誤魔化しただけ。ストレートに聞く勇気なんてないから。
『遠くに?行くわけねぇじゃん。連絡出来ないのは…その、バイトが忙しくて』
今、何か隠した?私に言えないことがあるの?
「何か 隠してない…?」
勇気を振り絞って聞いてみたが、思いのほか声が震えていた。
『べつに…何も隠してねぇよ。それより今度俺ん家こいよ』
それより。そんな些細な言葉でも右へ左へ心がざわめく。
けれどそれ以上聞くのが怖くて、問い詰めることはしなかった。
「うん…」
週末に会う約束をして電話を切った途端、我慢していた涙が溢れ出した。
会った時に別れようって言われるのかな?それなら会いたくないよ…