秋空恋模様
「ん…」
目を開けるとそこは病院。寝返りをうとうとしたら全身に激痛が走った。さすがにまだ痛いか。
私が動いたことでベッドの傍で寝ていた昴が呻き声をあげ、身体を起こした。
「おはよう」
私が笑うと昴の動きが止まった。そして一筋の涙を零して私の頭を撫でた。
「楓…よかった。よかった」
やっぱり昴の傍は落ち着く。別れを告げられる前に私の気持ちを伝えてしまおう。
「ねぇ昴?」
「ん?」
「愛してるよ」
拒絶されることが怖くて声が震えてしまった。そっと昴の反応を見ると顔を真っ赤にさせて口許を隠していた。
「くそ、先に言われた。俺も愛してる。目が覚めてすぐに言うことなのかは知らないけど、言わせてもらう」
昴も…私のことを愛してる…?え、じゃあ別れ話とかはなしってこと?ポカンとしていた私に顔を近づけて昴が話す。
「俺と結婚してくれ。楓以外いらない」
ストレートすぎるくらいの表現が昴らしくて笑みが零れた。
「うん。私も昴以外いらないよ」
そう言うと昴は私の手をとった。その手には指輪が…いつ嵌めたの!?
「決まり、だな」
嬉しそうに笑ってさらに顔を近づけてくるから、私はそっと目を閉じた。