twins cherry
「……!! ふぁっ、ふぁなひふぇよ!!」
自分でも分からない『離してよ!!』が中川くんには伝わったらしく、すぐに私の口から手を離した。
「ご、ごめん、苦しかったよね……?」
中川くんは子犬のような潤んだ瞳で私を見てきた。かっ、可愛い……!!
「ううん、大丈夫!! でも本当に彼女じゃないの?」
「桃花は小学生からの幼なじみだよ。冬翔(ふゆと)も」
“冬翔”?
「あっ、冬翔は僕のお兄ちゃん! 冬翔は他の人達には素直になれないっていうか、ツンツンしてるんだけど、家ではデレデレなの!」
中川くんと話していると、私の左側の席の男子が話しかけてきた。
「……春翔。全部聞こえてるぞ」
「あっ、そうだった、お兄ちゃん青空さんの隣だったんだ!」
へぇ〜、この人が中川くんのお兄ちゃん…………お兄ちゃん!?ってことは……双子!?
「……青空……? 誰?」
中川くんのお兄さんはあくびをしながらそういった。
「もうっ、また冬翔遅刻したの!?」
「違う。寝てた、ここで」
「「同じじゃん!」」
つい私もそうツッコんでしまった。すると、私達の後ろにきた。振り返ると、そこには理科担当の海堂先生がいた。
「授業終わったら先生のところにきなさい」
「「はぁーい……」」
「…………」