twins cherry
そうやって考え続けていたら、春翔が公園の前を通った。……もうこんなに時間が経っていたのか。俺は鞄を持って春翔に声をかけた。
「あっ、冬翔! ごめん、鍵渡すの忘れてたね」
春翔はそういって頭を掻いていた。
「……なぁ春翔。ちょっと相談したいことが――」
「うん、いいよ! なんでも相談して!!」
反応はえーな……。
「実はさっき、桃花と会ってさ……」
俺は桃花とあったことを話した。春翔は真剣に話を聞いてくれている。初めてだよな、春翔に相談するのは。
「そんな……桃花にそんなこといっちゃったの!? そりゃあ怒るよ、『好きだ』っていわれて、もし桃花が冬翔のことを好きだとしたら相当傷ついてるよね……」
「だけど……桃花が好きなのは春翔だろ?」
「実はあのあと桃花からメールがきてさ、『私が好きなのは春翔じゃないの』って」
「……は? それって、青空に勇気を持たせるために……? そうだとしても桃花、泣いてたし……」
「うん、そうなんだけどフラれたショックで泣いちゃったらしい……」
意味がわからない……。2人で話していると、いつの間にか家についていた。
「……あとで桃花に謝らないとな……」
「じゃあ僕が桃花に電話しておくよ。……たぶん冬翔が電話かけても、すぐ切られると思うし」
「だよな。……よろしくな、春翔」
そういって俺は自分の部屋に入って着替えた。……もし俺があの時『あぁそうだよ。本気だ』といっていたら?桃花はどう思っていたのだろうか……。
「クソッ……、なんかもうイライラして落ち着かねー!!」
そういって俺は近くにあったものを蹴った。
「!! ……いてぇ」
俺が今蹴ったのは自分の机の脚だった。