バンブーガール
え?
一瞬で顔から血の気が引いた。
なにそれ?私のこと?
「って、部長が昨日言ってた」
部長が・・・。
「聞いてた奴の中で、意味わかったの俺だけかもしれないけど」
やっぱり昨日の話、聞かれれてた。
「あんな奴の前で、いつまでもサバサバ演じなくてもいいんじゃない?」
あんたに何がわかるのよ。
って思ったら、ぶわって涙が浮かんできた。
ヤバイ。この子の前で泣きたくない。
なのに涙はどんどんあふれてくる。
それにしても、なんでこの子はタメ口?
「あー。ゴメン。泣くよね。やっぱ」
なんなのこの子?
いい加減、壁ドンした腕もどけて欲しいし。
って思ってたら、腕が離れ、上原くんは、無言でお茶をいれ始めた。
駄目だ。頭がクラクラする。この子のペースにまったくついていけない。
人数分お茶を入れると、上原くんはお盆にお茶を乗せて給湯室から出ていった。
「涙のあと何とかした方がいいっすよ」と言い残して。
「お疲れ様でーす」と大声を出しながら、配ってる様子が伝わってくる。
「どうしたんだ。気が利くなあ」
という誰かの声に
「柴崎さんにお茶のいれ方教わってたっす」と返事する上原くんの声が聞こえた。
あれ?私の名前覚えてくれてたんだと思ったら、胸の中心がほんのり暖かくなった。
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