殺人と笑顔と温もりと
「ケンジさん…?」
不安そうな瞳で
僕を見るおばあさん
僕は言ってあげた
あなたの
ケンジさんは
死にました、と
僕の声で我に返ったのか
お孫さんや娘さんの
名前を呼んで
傍へと近寄った
そして
先ほどまで僕へと
向けていた無邪気な笑みは消え
瞳に宿ったのは
燃え盛る憎悪の炎だった
「この…
殺人犯めっっ!!!」
おばあさんは
馬鹿だと思った
血まみれのナイフを持った僕へ
真正面から向かうのだから