殺人と笑顔と温もりと







隣にいるとも知らないで

オバサンたちは笑っている

僕は気にしないフリをして

ぼんやりと黄色いテープを眺めていた



悪いけど

僕は捕まるつもりはないよ





「ねぇ
お兄さんはどう思う?」




最初は他の人かと思った

だけどオバサンが肩を叩いたのは

間違いなく僕で



僕は焦る気持ちを隠して

「え?」

とオバサンたちの方を向いた





「最近物騒だと思わない?」




何故か親しげに話しかけてくれる

オバサンに

僕は曖昧に頷いた



だってそんな

物騒な世界を作っているのは

紛れもない



僕なのだから








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