殺人と笑顔と温もりと
そういえば今日は
どこで一晩過ごそうか
近くにホテルはあるだろうか
見た所家しかないけれど
ネットカフェも見当たらない
ホテルも見当たらない
そもそも
強くなって来た雪のせいで
視界が悪くなって来ている
何も見えなくなるのも
時間の問題だろうな……
「…大丈夫ですか」
2階建ての古びた木造アパートの前を
通り過ぎようとした時
ふと声がかかった
僕を見上げ立っているのは
真っ黒な髪を無造作に伸ばしている
背の低い見知らぬ少女だった
長袖のセーターを着ていて
右手に傘の柄を持ち
傘を僕へ傾けていた