殺人と笑顔と温もりと
「じゃあ
行く所までお送りします」
世界が止まった気がした
…何を言い出すのだ、この子は
「結構です
その心遣いだけで
あなたまで
冷えてしまいますから」
僕はそう言って行こうとしたが
彼女に腕を掴まれた
…僕に殺されない人間に触れられるのは
何年振りだろうか
「あなたのこと
何だか心配なんです
送らせてください
あたしに」
雪が強く降る中
彼女の目はしっかり
僕を見つめていた
…逃げられない
そう悟った