殺人と笑顔と温もりと








僕は素直に言い

彼女の家にお邪魔することとなった

彼女の家は

木造アパートの2階の1番奥だった




入ってすぐ左が台所で

右がお風呂場やトイレなどの扉

真っ直ぐが居間

居間の隣に扉がある

必要最低限の間取りだった




僕は彼女に言われるまま

居間に置いてあるちゃぶ台の近くに座った

彼女はすぐにあったかいお茶を淹れてくれた




「良ければ泊まっていってください
何もない部屋ですけど」




彼女もお茶を飲みながら

嬉しそうにはにかんだ

だけど僕は笑うことなど出来なかった




何を言い出すんだこの子は

信じられないことばかり言うな

僕はどうすれば良いんだ




泊まることなんてしたら

次の日彼女は死んでいるに決まっている




見ず知らずの僕へお茶を淹れてくれたんだ

そんな彼女を殺すなど出来ない



殺人衝動が生まれる前に

僕は彼女の家や

この街から出て行かなくては







< 35 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop