殺人と笑顔と温もりと
名前何て言うのかな
どんな顔しているのかな
どこに住んでいるのかな
色々なことが気になった
だけど聞く勇気なんてなかった
お互い何も話さないで
湯気の出るお茶を飲んでいると
コトンッと
彼がちゃぶ台にコップを置いた
その動作でさえ絵になっていて
ドキドキした
「ありがとうございます
美味しかったです」
彼は俯き加減に
ギリギリ聞こえるぐらいの音量で
あたしに話しかけてきてくれた
小さい声だけど
一言も漏らさず聞こえるのは
きっと彼の声が良い声だから
声優などの声関係のお仕事だと
言われれば
納得出来そうなほど良い声だ
「それでは」
彼は頭を下げると
あたしの横を通って出て行こうとした