殺人と笑顔と温もりと
あたしは
コップを置いて
ガシッと彼の腕を掴んでいた
「…あのっ……」
彼は驚いたようで
少しだけ顔を上げた
初めて彼の素顔が見えた
繊細な銀色フレームの奥にある
二重で睫毛の長いパッチリとした瞳
黒い瞳は宝石のようだ
目以外にも
眉毛も良い形で
鼻筋はスッとしていて
唇も綺麗で色っぽい
背もあたしより高くて
モデルのようにスラリとしていて
姿勢も良かった
着ている服は
毛糸で丁寧に編み込まれた
黒い見るからにあったかそうなセーターで
無難だけどとても似合っていた
穿いているパンツも
紺色のスラリとしたもので
体躯の良い彼にピッタリだった