殺人と笑顔と温もりと
僕は自分のズボンの
ポケットを漁った
中には先ほど殺した男のポケットから盗んだ
茶色い財布がはいっている
中身を確認する
千円札が2枚ほど
小銭は数円
カード類は一切なし
はいっていたのは
ビジネスホテルの名前や住所が書かれた
名刺サイズの紙が10枚ほど
ビジネスホテルを転々としていたのか
なるほど
僕も一緒だ
値段も書かれていたので
1番安くて
1番近いビジネスホテルを目指す
繁華街を歩いて
ビジネスホテルを目指す
未来に希望があるはずの若者が
狂ったように笑っていた
酔っぱらったサラリーマンが
地面に真っ赤な顔で寝ていた
端正な顔立ちの少女が
オッサンからお金をもらっていた
繁華街は嫌いだ
人混みも嫌いだ