殺人と笑顔と温もりと







「……いません」




淡々と言った彼だけど

眼鏡の奥の瞳が

少し哀しげに潤んだ気がした





「なら
…あたしを
抱いてくれませんか」




さっきから表情を

一切変えなかった彼だけど

驚いたように目を見開いた





「突然で変なこと言っているのはわかっています

だけど
あたしはあなたの
温もりが欲しいんです……」





ずっとあたしは孤独だったんだ

ずっと誰かに触れたかった

折角(せっかく)彼が現れたんだ

簡単にお別れなんてしたくない






温もりが欲しい

偽りでも良いから愛が欲しい








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