殺人と笑顔と温もりと
「1度だけで良いんです
お金が欲しければ
いくらでも差し上げます
あたしを
抱いてくれませんか…?」
あたしは羽織っていた
冬用上着を脱いだ
彼のセーターみたいにあったくない
あたしのセーターが露わになった
「…それは出来ません」
彼は淡々と
感情のこもっていない声で言った
「あなたには
あなたに相応しい人が
きっといるはずです
僕ではありませんよ」
あたしは彼の腕を握りながら
ブンブン首を振った
「お願いします
そんなこと言わないでください
今日だけで良いんです…
あなたが良いんです……」