殺人と笑顔と温もりと
あたしは頭を下げた
彼の腕を掴む力を強くした
「お願いします
無茶だってわかってます
お願いしますっ……」
じんわりと視界が滲(にじ)みだし
涙が出てきた
ポタポタと涙は流れて
彼のセーターに染み込んでいく
彼は小さく溜息をつくと
あたしの涙を指で拭った
綺麗でほっそりとした白い指が
あたしの涙を優しく拭ってくれた
「僕は…最低な人間です
それでも良いのですか」
「構いません
あたしだって最低ですから」
あたしはセーターを脱いだ
一緒に彼も脱いだ
「お願いします……」
久しぶりにあたしは
温もりに触れられる