殺人と笑顔と温もりと
居間の隣の部屋で
初めての行為を終えた
だけどあたしの上には
彼がいる
眼鏡をとった素顔の彼
名前も住所も何も知らない彼
「…良かったん、ですか」
「ええ」
あたしが自信を持って頷くと
彼はあたしの頬へキスをしてきた
彼の唇は冷たいけど
あたしにはあったかく思えた
「ありがとうございました」
セーターを着た彼にお礼を言うと
彼は少しだけど笑ってくれた
イケメンに笑顔は似合う
「ごめんなさい
僕が相手で」
「良いんですよ」
きっとあなたじゃなかったら
あたしは誘っていない