殺人と笑顔と温もりと
「どこ行くんですか」
さっきは出て来なかった言葉が
すんなり出てきた
彼は振り向いて微笑んだ
不思議と苦しそうじゃない
どこか清々(すがすが)しい
「掃除です」
パタン、と扉を閉める彼
あたしは急いで靴を履いて
扉を開けた
彼は隣の扉をノックしていた
眩しい笑顔で
「はぁーい、どちら様ぁ?」
お酒でも飲んだのか
顔が赤い隣人が出てきた
彼を見て
もっと顔を赤くした
「わぁイケメーン!
でも知り合いじゃないわよね?
どんなご用かしら?」