殺人と笑顔と温もりと
「1名様ですか?」
殺風景なビジネスホテルで
フロントの女性が笑みを浮かべる
作り笑いが見え見えだった
「ではキーをどうぞ
そちらのエレベーターから上がってください
ごゆっくり」
一言も喋らず
首を下や左右に動かしただけ
嫌な顔1つせずに
女性はエレベーターを示した
心の中では
きっと面倒だと思っている
案内された部屋は
ベッドと洗面所
お風呂に鏡だけの
小さな1人部屋
お風呂に入って
血の匂いが染み付く体を洗い
新しい服を着て
コインランドリーの向かう場所へ向かう
所々に血の付着した
着古した服を洗った
隣のコインランドリーを使う
オジサンの顔は
疲れ切って
今にも死にそうだった