殺人と笑顔と温もりと
あたしは急いで部屋に戻り
雑巾を手に取って
アパートの外廊下を拭き始めた
「な
何しているんですか」
手摺りによっかかり
ナイフを手で弄んでいた彼が
驚いたように声を上げた
「証拠隠滅に決まっているじゃないですか
今なら全部拭き取れるはずです
あ
その前に死体を部屋の中に押し込まないと」
あたしは血の流れる隣人の死体の
腕を引いて
部屋の中に引きずりこむ
血が手についたけど
後で洗えば良い話だ
「待ってください
あなた自分が何しているのか
わかっているんですか?」
「当たり前じゃないですか
あたしはそこまで馬鹿じゃないですよ」
隣人を部屋に押し込み
今度は彼を殴りかけた男性を押し込む
女性の隣人より手間がかかったけど
上手く押し込むことが出来た
他の女2人と男は
部屋の玄関で死んでくれたから
扉を閉めれば見えなくなった