殺人と笑顔と温もりと







出て行こうと靴を履こうとした瞬間

ふっと膝の力が抜けた



頭がガンガンする

吐き気がする

気持ち悪い

手足も痺れている




僕は知っていた

この苦しみが何なのか




殺人衝動だ

誰か殺さない限り

この衝動は収まらない




僕の肩を優しく支えてくれる

彼女が羨ましくなった




殺人衝動に襲われない

そんな体が羨ましくなった




誰か殺さないと

彼女を殺してしまう




お礼をしよう

全てを一瞬だけど忘れさせてくれて

僕に優しくしてくれた彼女に







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