殺人と笑顔と温もりと








お風呂から上がると

彼はあたしの読んでいた本を読んでいた



パジャマ姿で

火照るあたしを見た彼は

一瞬見たものの俯いてしまった




その表情は

痛いほど

哀しみに溢れていた






「あの……」




声をかけると

彼は顔を上げて

本を閉じた





「良い
お話ですね…コレ」

「へっ?」




思わず素っ頓狂な声が出る

コレは

あたしが読んで

今は彼が読んでいる本のことだ








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