殺人と笑顔と温もりと
少し水滴の残る綺麗な漆黒の髪に
時々寂しそうに潤む瞳
誰も寄せ付けない独特な雰囲気
孤独かどうかは…わからないけど
美少年なのは間違いない
そこまで考えてふと思う
この人は一体いくつだろう?
そもそもあたしは
この人の名前さえ知らない
どこへ来てどこへ行くのかも
何も何も知らないのだ…
でも
関係ない
彼はあたしを癒してくれた存在
それだけで良い
何も知らなくても
良いの…あたしは
「……いきますか?」
本を閉じて物思いにふけっているような彼に
あたしは尋ねてみた
「………はい」
彼はぎこちなくだけど
笑ってくれた