殺人と笑顔と温もりと
9
僕が押し倒すと喜び
僕がキスするとはにかみ
僕が抱くと口元を緩ませる彼女
純粋に
僕とヤるのを喜ぶ彼女を見ていると
自分が嫌になって嫌になって
―――気が付けば涙を流していた
止まってほしかった
一緒に泣き始める彼女と同じ
“涙”と呼ばれる存在を
流したくなかったから
だけど止まってくれなくて
止まってくれと思うほど
涙は滝のように溢れてきてしまって
自分じゃどうしようもなくなっていた
彼女はポツポツと
まるで昨日のテレビの話でもするかのように
自分の過去を話し始めた
両親に責められる過去
友人や彼氏に裏切られた過去
愛されたいと望んだ夜のこと
孤独に耐えるため膝を抱えた夜のこと
彼女は全部話してくれた