殺人と笑顔と温もりと








僕が押し倒すと喜び

僕がキスするとはにかみ

僕が抱くと口元を緩ませる彼女




純粋に

僕とヤるのを喜ぶ彼女を見ていると

自分が嫌になって嫌になって

―――気が付けば涙を流していた




止まってほしかった

一緒に泣き始める彼女と同じ

“涙”と呼ばれる存在を

流したくなかったから





だけど止まってくれなくて

止まってくれと思うほど

涙は滝のように溢れてきてしまって

自分じゃどうしようもなくなっていた




彼女はポツポツと

まるで昨日のテレビの話でもするかのように

自分の過去を話し始めた




両親に責められる過去

友人や彼氏に裏切られた過去




愛されたいと望んだ夜のこと

孤独に耐えるため膝を抱えた夜のこと




彼女は全部話してくれた








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