殺人と笑顔と温もりと
先生から渡されたのは
後20分ほどで出発する新幹線の切符だった
帰りはバスのはずだ
何故新幹線の切符?
尋ねると
先生は衝撃的な言葉を口にした
それからどうやって家に帰ったのかわからない
気が付くと
燃え盛る自宅の前にいた
消防士が
必死にホースから水を出して
僕の家の炎を消していた
両手に手錠をして
警察に連れて行かれる
近所の男性を見た
近所の人が話していた
今日の朝僕に話しかけてきた
あの野次馬のオバサンのようだった
あの男性が
僕の家に火を点け
両親と生まれたばかりの妹を
殺したのだと知った