殺人と笑顔と温もりと








「あなたが隣人を殺した時
思ったんです

あんなに綺麗に殺せる人を
初めて見ましたから

あなたは
世間で有名な殺人鬼さんですね」





芸能人に話しかけるような口ぶりで

彼女は微笑みながら僕へ聞いてくる





「……そうです
僕が殺人鬼です

好きだって言ってくれて
ありがとうございます

とても嬉しいです
そんなこと言われたのは
久しぶりです

ですが
お断りします

僕は殺人鬼です
それも世間が言うような
快楽殺人鬼ではない

僕には殺人衝動があります
殺すまいと思えば思うほど
衝動は強くなり
昨日のように倒れてしまいます

僕はこれからも
人を殺していかなければ
生きて行けないのです」






素直に告白した

彼女の真っ直ぐすぎる双眸を前にして

嘘はつけないと思ったから









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