美しく咲き誇り
「な…ん、で…」
恐怖で声は震え、何でなんて何言ってんだって今なら言えるが、その時の僕は混乱していて何もできなかった。
意識がもうろうとしているはずの彼女は僕を見ると、安堵の表情を見せてくれた。
自分がそうなっているのにも関わらず…
「無事…だっ、たん…だね…
よ、かっ…た…」
「よかったじゃないよっ‼‼
君はっ、こんなっっ‼‼」
血で染まった彼女の手を掴むと微少の力で握り返してくれた。
そして、彼女は笑う。
笑わないで…なんて言えるわけもなく、視界は涙で遮られる
「泣かないで…」
逆に励まされるなんて、本当情けない。
後ろの方で慌ただしく動く人、そして救急車のサイレンが要約聞こえた。
「ねぇ、あ、なた…は、出場者…?
も、し…そう、だっ…た、ら…勝っ…て、ね?」
もう一度笑った彼女は目を閉じてしまった。
「ねぇ…?!
待って、目開けて?!」
どんなに叫んでも彼女の目が開くことはなかった。