美しく咲き誇り




舞side



落ち着いた百合香はボソリとごめんと呟いて私の隣に座った。


百合香が伝えてしまった事実に、彼は表情を暗くし、一緒にいた人も何とも言えない状態だった。


「暗い顔をする意味がわからない。」


声に反応した彼等はゆっくり顔を上げた。

目に涙を溜める彼の手を掴んだ。


「覚えてるよ。

ずっと、こうして君がこの手を掴んでてくれたこと」


握り直された手に、冷たい雫が何度も落た。

何度も、何度もごめんと謝る彼。

私は空いている方の手で彼の髪を撫でた。


「私は生きてる。

確かに竹刀は振れなくなったけどちゃんと生きてるよ。

そして、君も生きてる。

竹刀を振る事だけが全てじゃない。」


「でもっ」


あー、もう!

何でわからないかなー?


「君が生きていてくれてよかった。

だから、ここはさ?

笑顔で何て言うの?」


泣き止まない彼の頭を乱暴に撫でまわす歳幸くんとやらは、ありがとうだろ!?と彼の頭を叩いた。





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