まだ本当の恋を知らない
恋なんて
薄暗い部屋の中、私の吐息と肌と肌が絡みつく熱い空気がその場を支配している。

その中で、何処か冷めた私。

「あ、今日の書類のハンコのチェックしたっけ?」
なんて事が頭を巡る…

「やば…」
今、考える事じゃないよな…

私の隣で息があがり、果てた男が優しく髪を撫でてくれる。
「友穂やっぱ、お前がいいよ。」

「…」

私を優しく抱き締める彼は、もう10年来の付き合い山口海斗29才。
別れたり、付き合ったりを1.2年周期で繰り返している。

高校の先輩で、卒業式に私が告白し付き合い始めた。
その後、大学と高校の付き合いは、何となくで自然消滅。

2年後の7月7日、私も大学生となり遊びに出ていた街中で偶然に再会した。
七夕ということもお互いの気持ちを盛り上がらせるには、ある意味スパイスというか、その時の私には、運命を感じる要素となった。

あのときの私たちは、お互いの状況なんて関係なく、ただ再会した感動で、盛り上がっしまった。

盛り上がりは、長く続かずまた自然消滅。

二度目の再会は、社会人になってから。

飲み会の帰りにまたまた偶然の再会。
学習能力のない私たちはまたもや盛り上がってしまった…

ただ言えることは、遠慮のない関係。
寂しいと思うとき、満たしてくれる言葉、体がいつもありがたかった。これは、セックスフレンドとはまた違う、切っても切れない何かの様な感覚でもあった。

多分、彼もそうなんだろうと何度も偶然を繰り返すうちに自分の中で答えが出ていた。

「海斗、あたしも海斗がいい。」

「海斗の側に居ると落ちつくよ。」

そんな、甘い言葉が彼にどう響いているのか分かんないけど、いつものように囁いた。


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