まだ本当の恋を知らない
午後8時を回った頃。

「あー、もう少し!疲れた…」

首を回しながら周りを見回す。

残っているのは私と部長だけ。

ここにきて始めて二人きりだと気づく。

私の大きな独り言に部長がこっちを向く。

「ごめんなさい、私一人だと思ってたんで。」

「まだ居たんですか?お疲れ様です。」

「俺が頼んだ仕事させといて先には帰れないだろ。」

部長が私のデスクに向かってやってきた。

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