冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
「こんな豪華なお店じゃ、緊張するでしょ・・・」
そんな私とは裏腹に進藤はふわっと笑ってる。
まるで僕に任せて、大丈夫だから。
とでも言ってるような大人の顔だ。
今日はどうしてだろう?
進藤がやけに大人の男に見える。
いつも以上に魅力的だ・・・。
ボトルで運ばれて来たワインは甘口が好きな私に合わせたチョイスで、飲みやすくおいしい。
出てきた料理も28年間の人生で口にしたことのない極上の味だった。そのひとつひとつに舌鼓を打つ。
さりげなく星を型どった野菜や笹の葉をイメージさせる葉物、小さな星が散りばめられたデザートは天の川みたいだった。
「キレイ。あっ・・・」
私はふと思い出した。
「今日は七夕ですね。」
進藤がやっと気が付きました?とでも言いたげに、「ふっ」と笑ってコーヒーを飲んでいる。
デザートの天の川を見てやっと思い出した。
成二と玲奈の結婚式の日付が7月7日だとわかってから、日にちにばかりにとらわれていた。
七夕なんて正直どうでも良かった。
ましてこんな豪華なレストランに来るなんて概念は私には無かったから。
「七夕だからここに連れて来てくれたの?」
「それもあります。」
まだ何かあるのかと思った瞬間、店のライトがダウンし始めた。
灯りはテーブルのキャンドルだけ。
あたりをキョロキョロと見渡す私が可笑しかったのか、進藤はクスっと笑う。
「夏希さん、見て。」