冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!


その箱の中には、一粒ダイヤのリング。

「これって・・・」



「はい。
今日子さんに夏希さんの好みを聞き出すのをお願いしました。」

そうだ、今日子の婚約指輪を選ぶからと付き合ったお店で私が気に入った指輪を選ばされた時の物だった。

私がリングを見たまま、固まっていると進藤がリングを箱から取り出して私の左手薬指に通す。


「ぴったり!」

と、満足そうに笑う。



「なんで・・・
なんで急に指輪なんて。」



「急じゃありません。
僕は最初からそのつもりでした。」



「進藤…」

私は次の言葉がみつからず、目の前にいる愛しい人の名を呼んだ。



「夏希さん、進藤って呼ぶの、もうやめて下さい。
だって夏希さんも進藤になるんだから。」



「それって…」



「結婚して下さい。僕と。ずっと一緒にいよう。」



「だって結婚なんて、嘘でしょ?なんで?だって・・・」

進藤は年下だし、成二とのことも知ってるし、進藤と結婚なんて・・・
夢見ちゃいけないと思ってた。
恋は恋のままだと。
叶わない夢だと思ってた。


進藤の言葉がまだふわふわとしている。
進藤がそっとテーブルに置いた私の手を握ると、ボロボロと涙があふれ出した。
左手には一粒ダイヤがキャンドルの光でキラキラと輝いている。



「夏希さん、返事は?」

どこか強気な言い方は、メガネを外しているときの進藤だ。



「僕と結婚してくれますか?」



「はい…」





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