冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
プロポーズの種明かし
進藤からプロポーズを受けたレストラン。
それは早瀬デザイン事務所・・・つまり早瀬隆之介がプロデュースしていた店だった。
今回の七夕のイベントは料理からイルミネーションの仕掛け、店内の空間デザインなど、早瀬さんと一緒に進藤が進めていたらしい。
そんな話を今、進藤の胸に抱かれ、私は聞いている。
プロポーズを受けた後、同じホテルの部屋にいるのだ。
「これまでもプロデュース?」
と私が今の状況を聞くと、嬉しそうに「はい」と進藤は答えていた。
進藤は私の髪の毛を弄んでる。
「なにも今日じゃなくても。」
本当は成二と玲奈の披露パーティにいたはずだった。
それが気が付けば進藤に主導権を握られ、レストランまで来てプロポーズされた。
「今日が良かったんです。
夏希さんの七夕の思い出が僕のプロポーズで塗り替えられるように。」
「えっ?」
進藤の言葉が意味深に聞こえる。
「7月7日が来る度に、悲しい思い出が蘇ることがないようにです。
せっかくの七夕が淋しくならないように。」
ああ・・・
七夕が来る度に、私は成二と玲奈の結婚した日を思い出すことになっていたのかもしれない。
でもどうだろう?
今、進藤に言われるまで今日、成二たちが結婚式を挙げたことをすっかり忘れていた。
それよりも進藤からの突然のプロポーズ。
そっちの方が私にとっては大切な思い出になっていたから。
「進藤・・・」
私はその進藤の想いが伝わって来て胸が熱くなった。
進藤の首に腕を回し、自分からキスをした。
一瞬、目がどんぐりみたいにクリっとなったけど、それに答え、だんだん主導権を握っていった進藤の深く強いキスは極上の味がした。