冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
ーーー 進藤side ーーー
僕はCADルームに隣接している準備室で資料整理をしていた。
黙々と作業に取り組んでいるとCADルームから佐藤さんと夏希さんの声が聞こえてきた。
どうやら図面電子化システムの話らしい。
僕は作業を止めて、しばらく聞き耳を立てる。
「正野ちゃん、電子化されて図面がすぐにみつかるでしょ?どう、使ってて。
感想や指摘があったら今後の参考にしたいんだ。」
佐藤さんが夏希さんに声をかけると、夏希さんは使い易いと言ってくれてる。
僕はそれを聞いてちょっと嬉しくなる。
「あ、でもひとつ。
佐藤さん、図面をテーマごと、グループごと、部品ごとでセレクトして 引っぱり出せますよね?
あと設計者別でもセレクトできるとありがたいです。」
あれ?それはすでに入れてありますよ。
僕が意見を聞いた時に、夏希さんがリクエストしてくれたじゃないですか。
上手く使えてないのかな?
「あれ?夏希、それ、もうシステムに入ってるよ。
これ佐藤さんが作ったんですよね?おかしいなぁ、知らなかったとか?」
今日子さんの声。
僕はそっとCADルームを覗くと、佐藤さんはしどろもどろになって、CADルームから出て行くところだった。
そして夏希さんと今日子さんが目配せしている。
あ…
もしかして二人は僕のことで小芝居をしていた?
二人とも『246』で随分と怒ってたもんな。
特に夏希さんは酔っぱらって悔しいと目まで潤ませていたし。
平岡さんが言っていた通りの女性だ。