冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
わ、嬉しそうに笑って走って来るんじゃないよ!
誤解されるっつーの。
「夏希さん、あと5分待ってて下さい。すぐシャワー浴びて来ますから。」
そう言うと、慌ただしくシャワールームへ消えて行った。
会社じゃ、ぼんやりしているくせに、なんだかテキパキしてるな。
私は飲んでいたコーヒーに口をつけながら、心の中で悪態をついた。
すると、さっきまでグランドにいた女性二人がこちらへ近づいて来た。
学生かな?
「進藤さんの彼女ですか?」
えっ?私に話かけてる?なんだか挑戦的だな。
挨拶とかそういうのはなし?!
「ちょっと、失礼だよ。」
質問して来た子よりおとなしく見える子が言う。
不躾過ぎて笑いが出る。
痛い程の視線を貰ってた時から予想が出来た展開。
「いえ、会社の同僚です。」
私は動揺を見せず、明らかに年下だろうとわかる彼女たちにわざと敬語を使った。
「そうですよね…ああ、良かった。
進藤さん、彼女いないって言ってたのに嘘かと思いました。」
おとなしく見える方が安堵の笑みをこぼす。
あなたが進藤狙いなのね。
「夏希さん、お待たせしました。 あれ?どうしたの?」