冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!

用を足したい訳じゃない。
ただあの場を少しでも離れたかった。
酔い冷ましがてらに店の外に出て、店の前に置いてあったイスに座る。
しばらく夜空をぼんやりと眺めていた。


「酔ったのか?」

ふいに声をかけて来たのは、いつの間にかそばにいた成二だった。
さっきまで彼女の隣に座ってたのになぜここに?


「・・・・」

私は言葉にせず、首を横に振った。
別に酔ってる訳じゃない。



「だよな、特に酒が弱い訳じゃないもんな。」


「うん。」

その後、話が続かない。
視線を感じるまま成二の方へ顔を向けると真剣な顔をして私を見据えてる成二がいた。
私が何も言えないままでいると成二が口を開く。



「進藤と付き合ってるのか?」

私はこの質問をしてくる成二の顔をまじまじと見た。



「進藤と付き合ってるのかって聞いてるんだよ。」

答えない私にいらだちを隠さずに声を荒立てる。



「せい… 平岡くんには関係ない。」
付き合ってなんかいないけど、答えるつもりはない。
成二にはどうでも良いことでしょ…
意地にもなっていた。



「そうだな…俺には関係ないよな。」

成二の顔が急に情けない笑顔になる。
そんな顔しないでよ、彼女と何かあったんじゃないかって勘ぐってしまうじゃない。


「夏希…」

成二が急に私の肩に手をかけ、なかなか目を合わせようとしない私を自分の方へと向かせた。


「えっ?!」

私はその行動に驚き、少し大きな声を出してしまったと同時に成二に視線を合わせた。


「夏希…」

もう一度、成二が何かを言いかけたとき、誰かがスゴい勢いで店から出て来た。


「進藤!!!!!」





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