冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
ソフトボール大会での出来事
進藤と夜を共にしたあの日以来、進藤とはこれと言って進展もなく
毎日が過ぎて行った。
そしてソフトボール大会の日がやってきた。
レクリエーション当番としては準備が大変だったけど、 進藤が要領よく進めてくれていたので私の負担は少なかった。
当日、会社のグランドでレクリエーション当番は本部に集まって分担した仕事をこなしていた。
部署対抗なので、設計部×営業部、企画部×生産部と試合が組まれていて、勝者チームが決勝に進む。
3位決定戦も行うので、どのチームも二試合はゲームをすることになる。
タイムスケジュールや審判の配置、得点の表記、お弁当の配布などレクリエーション当番は細々とした仕事に追われていた。
お昼が近くなり、私が各部署にお弁当を配布する。
自分の部署のエリアに来た時、なんとなく違和感を覚えた。
進藤の活躍に男性社員の応援する声。
女性社員からは黄色い声援。
メガネを外しスポーツウェアの進藤は明らかに普段と別人だ。
サッカーの試合で見たように運動神経は抜群だったし、 何よりもメガネを外した進藤は、誰が見てもイケメンという部類に入る。
対戦相手の営業部には女性がたくさんいる。
その彼女たちも進藤にやたら話しかけて来ていた。
「進藤ってメガネを外すとあんなにモテるんだ。」
今日子が面白がって、進藤とその取り巻きたちを写メしている。
「なんで写真なんて撮ってるの?」
「進藤を後でおちょくる為。
夏希は! 堂々としてないと、また誰かに取られちゃうよ。」
進藤と一夜を共にしたことは今日子には話している。
「堂々もなにも…まだ付き合うとかじゃないし。」
「はぁ?
やることやってるんだから付き合ってるんでしょ?
まさか!
アンタ達、セフレになっちゃったとか?」
「ば、ばか!何言ってるのよ。声、大きいし!」
私は焦って今日子の口を押さえる。
「この際、ハッキリ聞いておくけど、夏希は進藤の事をどう思ってるの?」
そろそろ、こう言う質問が来る頃とは予想していた。
「わかんない。」
「はぁ!?わかんないって!!!!」
今日子さん…怖いって!
「真面目なだけで、嘘もつけないし、不器用なとこばかりだし、普段の見た目は普通だし、年下だし… この距離感くらいが良いのかなと…」
進藤のダメなところを並べていたら、今日子がフっと笑った。
「夏希?
あんた、進藤のこと良くわかってんじゃん。」