冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
肝心のソフトボールの試合と言えば、我が設計部は進藤の活躍もあり1回戦は勝利を収めた。
もうひとつのブロックの勝者と決勝戦だ。
勝者は企画部。


進藤が元々いた部署であり、私の元カレとその元カレを奪った同期がいる企画部。


応援に行くのも気が進まないので、そのまま本部に残って遠くから試合を見ようとしていたら、一段落しているから応援に行ったら?と言われ、渋々、設計部の応援席へ行った。


ちょうど設計部が攻撃していた。
バッターが進藤でピッチャーは…
成二だった。



なんだか複雑な想いで見ていると、第一球を思い切り進藤が空振った。
第二、第三球はボール。
そして第四球はバッドに当てたけどファールになってしまった。
スリーボール・ツーストライク…後が無い。


どう言う訳か進藤も成二も真剣勝負なのが伝わって来る。
楽しいゲームのはずが、この二人だけには妙なオーラが出てる。
お互いのチームが緊迫したムードで二人の対決を食い入るように見守っている。


私はどちらを応援してるの?


部署対決なんだから、設計部を応援するに決まってる。
でもどうしても成二の姿を目で追ってる。
するとバッターボックスから痛い程の視線で見られてることに気が付く。

進藤だ。

それは一瞬のことだった。
すぐに成二が振りかぶって球を放った。


カッキーーーン!


みんなが息を殺してそのボールの先を追う。
そのボールは場外ホームランになった。
設計部の応援席が湧いた。
私も大喜びで跳ねた。


今度はマウンドにいる成二と視線が絡み合う。
私から一瞬でも目を逸らさずにいる成二の視線を遮ったのは、ベースを回って、ホームへ戻って来た進藤だった。





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